レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Come Together / Something / The Beatles【オランダ盤(モノラル)、イタリア盤(モノラル)】

この間、奈良のB-SELSに行ったためか、またしてもビートルズ・マイブームがやって来た気がする。

この時の記事

   ☞  The Beatles (White Album) / The Beatles【UK盤】

 

1980年代初め、中学の頃、最初に買ったレコードがビートルズの「マジカル・ミステリー・ツアー」だったのだが、それ以降、何度かビートルズ・マイブームに見舞われている。

この時の記事

   ☞  Magical Mystery Tour / The Beatles【日本盤(EAS)】

 

 

第一次ブーム:1980年代前半(中学高校時代)

日本盤LP(EAS盤/国旗帯盤)とシングルを中期と後期を中心に集める。

 

レンタルレコード店「友&愛(YOU&I)」でレコードを借りて、カセットにダビングも。


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第二次ブーム:1980年代後半(大学時代)

ミックス違いに目覚める。「ビートルズ海賊盤辞典(松本常男著)」を買って研究。

 

海賊盤(非公式盤、ブートレッグとも言う)にも手を出す。特に、幻のアルバム「Get Back」に衝撃を受ける。


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第三次ブーム:2000年代初め(2000〜2003)

しばらくの間、ビートルズから離れていたが、「Yellow Submarine Songtrack(1999年)」や「The Beatles 1(2000年)」に触発され、ビートルズ熱が再燃。

 

The Beatles Live At The BBC(1994年)」や「The Beatles Anthology(1995〜1996年)」を後追いで手にするも、それだけでは飽き足らず、独自編集のUSアルバム、未CD化の初期アルバムのステレオ盤、ステレオとモノラルのミックス違いなどを探し求めて、新宿駅西口に点在するマニアックな輸入CD屋に通う。

 

The Capitol Masters、mobile fidelity sound lab仕様、Dr. Ebbetts などのシリーズものを始め、ブートレッグCDを買い漁る。


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「Let It Be...Naked(2003年)」で中締めとなるが、その後も「Love(2006年)」「The Beatles Stereo Box、The Beatles in Mono(2009年)」など、断続的に波が来る。

 

 

第四次ブーム:2010年代後半(2015〜2019)

2012年に再びレコードを聴くようになって後、ビートルズのレコードはどうなのだろうと思っていたところ、「アナログ・ミステリー・ツアー(湯浅学著)」に出会う。

 

国によってそんなに音が違うのか?と大いに触発され、一大ブームが到来。

 

中古レコード屋巡りは当然のこと、UKオリジナル盤および様々な外国盤を求めて、Discogsで海外から輸入も始める。

 

LP、EP、シングル…  良い音(および味のある音、面白い音)を求めて、とにかく買い漁る。


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2020年を前に、このままではマズい、歯止めが利かなくなる、と自重(値段が高騰してきたことも一因だが)、一大ブームは収束する。

 

但しその後も、これは!という盤に絞っての入手は続き、今に至る。

 

 

以上がビートルズ・マイブームなのが、今回の「レコード評議会」では、第四次ブームの際に入手したシングル盤のうち、これを採り上げたい。

 

 

The Beatles

Come Together / Something(7" Single)

オランダ盤(1969年)モノラル

Apple Records 

5C 006. 04266 M

SideA:04266A//12.655-1. 1 2

SideB:04266B//12.656-1. 1 2


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"カム・トゥゲザー"と"サムシング"のオランダ盤シングル。

 

アルバム「アビイ・ロード」からのシングルカットで、UK盤では両A面扱いとされている。

UK盤のレーベルはりんご外側に"サムシング"、内側に"カム・トゥゲザー"。

 

ところがオランダ盤はこれが逆で、りんご外側に"カム・トゥゲザー"、内側に"サムシング"となっている。

 

更には、マト(matrix)の付け方から、A面"カム・トゥゲザー"、B面"サムシング"といった扱いに見える。

 

また、独自カッティングなのだが、聴いて驚いた。ステレオではなく、モノラルなのだ。

UK盤シングルはステレオでのリリース(一つ前のシングル"ジョンとヨーコのバラード"からステレオでのリリース)なのだが、このオランダ盤はモノラルでのリリース。

 

そもそも「アビイ・ロード」の収録曲のミックスダウンは全てステレオで行われており(※)、モノラルミックスは無い。

※ 同アルバムも基本的にステレオのみのリリース(ブラジル盤LPとオープンリールテープはモノラル)。

 

このオランダ盤シングルは、ステレオミックスモノラル化したものという訳だ。

1969年でも、オランダではシングルは依然としてモノラルが中心だったということか…

 

で、音はどうかと言うと…

 

Come Together

音はなかなか悪くない。ベースの粒立ちが確りしていて、鳴りも良い。

エレピフェンダー・ローズ)の音も目立って聴こえる。

 

Something

こちらの面は、音の輪郭がややボケていて、ところどころ音がビリつく。明らかに溝が痛んでいる。

最初の持ち主(オランダの方)が、こちらの面のみ聴き込んでいたようだ。ジョージの曲の中でも最も素晴らしい曲だし、純粋に名曲だし、気に入って、それこそ擦り切れるまで聴いたのだろう。

 

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と、シングル一枚にあれこれ書いたが、更にもう一枚。

 

 

The Beatles

Come Together / Something(7" Single)

イタリア盤(1969年)モノラル

Apple Records / EMI Italiana S.p.A.

3C 006-04266 M / QMSP 16461

04266-M-A - 6-10-69 - I
04266-M-B - 6-10-69 - I


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"カム・トゥゲザー"と"サムシング"のイタリア盤シングル。

 

こちらもUK盤と逆で、りんご外側に"カム・トゥゲザー"、内側に"サムシング"。加えて、りんごの内側の方は横になっている。

 

そして、マトの付け方およびジャケット上のタイトルの書き方から、明らかにA面"カム・トゥゲザー"、B面"サムシング"といった扱いだ。

 

ジャケットは「アビイ・ロード」の4人の姿をトリミングしたようなシルエット。

 

文字のフォントは「サージェント…」や「マジカル…」の時期のサイケっぽい雰囲気を残しており、はっきり言って曲に合っていない。が、それもまた良し。

 

で、こちらも独自カッティングなのだが、オランダ盤と同じく、モノラル

イタリアもシングルは依然としてモノラルが中心だったということなのか…

 

さて、音は…と言うと、これがかなりの良音。

あまり期待していなかっただけに、うれしい驚き。

 

Come Together
ジョンの声が近い。Shoot meも確り聴こえる。

ポールのコーラスがはっきり聴こえる。

ベースの跳ねるような響きがかなり良い。

オーバードライブのかかったギターの響きも良い。

 

Something

ジョージの声が近い。

ストリングスの響きが素晴らしい(ステレオと違い、音が真ん中から出てくるため、より目立つ)

ベースが質量のある音で、ブンと鳴る。

繊細なギターソロもなかなかの響き。

 

そして、全体的に言えるのは「アナログ・ミステリー・ツアー」に記載されていた通り、何となく明るい音。

と言うか、「アビイ・ロード」の音はクールで明晰なイメージなのだが、このイタリア盤シングルは明るく暖かい感じで、柔らかい空気感を醸している。

 

さすが、オペラ、カンツォーネの国、イタリアの音だ。

 

と、ふと思ったのだが、イタリア盤はトランジスタカッティングではなく、チューブカッティング真空管カッティング)なのではないか?

 

英国では1969年ともなるとチューブからトランジスタに切り替わっているのだが、イタリアではチューブカッティングが続いていたのではないか?と…

 

それぞれの音の特徴、イメージは以下の通りなのだが、このイタリア盤の音は正にチューブカッティングのそれだ。

トランジスタ:クール、明晰、キリッとした音、すっきりした音像

・チューブ真空管:暖かい、柔らかい、倍音豊かな音、ふわっとした空気感

 

英国では「ステレオ、トランジスタカッティング」のものが、イタリアでは「モノラルチューブカッティング」なのか…(本当にそうなのかは知りませんが…)

 

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いやはや、こういうのがあるから、レコードは面白い。

 

 

 

 

また一歩、レコード狂人ビニール廃人へ近づいてしまったか…