レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

The Beatles (White Album) / The Beatles【UK盤(モノラル)】

ビートルズを愛聴する者として、以前からずっと気になっていたB-SELS(ビーセルズ)。ついに行ってきた。

 

B−SELSは、奈良にあるビートルズ専門のアナログレコード専門店。

お店のHPには「BEATLES 好きナラ B-SELS。ビートルズ シカありません。」とある。

 B-SELS ビーセルズ | HP Top

 

ご店主が定期的に書かれている日記(ブログ)を見ると、王道のUK盤から各国盤に至るまで、出品される盤がとにかく凄い。

 

東京在住なので簡単に行くこともできないのだが、「いつシカ行きたい、行かねばナラない」と思っていたお店だった。

 

そんな折、大阪出張の機会があり、土曜日午前中に仕事が終わった後、東京には夜に帰れば良いので、「それナラば、行くシカない」と近鉄に乗り込んだ。

 

近鉄奈良駅に到着。「奈良に来てレコード店にシカ行かないというのは、さすがにあってはナラないだろう」と思い、まずは、興福寺五重塔や国宝館の阿修羅像などを拝観し、猿沢池周辺を散策。

 

そして、そろそろ行くか、とB-SELSを目指して近鉄奈良駅前に戻ると、大通りの向かいに、はためくユニオンジャックを発見。

ビル1階には立て看板。

 

ビートルズしかないアナログレコード店

 


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ビルの3階、お店の扉を開くと、ホワイトを基調とした綺麗な店内。

ビートルズ、メンバーソロ、Apple関連アーティストのシングルとアルバムが整然と並ぶ。

 

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そして、凄いのは、その品揃え。

お店の日記(ブログ)に書かれている通り、最初期スタンパーのUKオリジナル盤やレアな各国盤などが壁に並んでいる。

ボックスにもなかなかお目にかかれないオリジナル盤などが普通に収められている。

 

凄いな、B−SELS

どうしたらこんな品揃えができるのだろう?

日本中というか、世界中を見渡しても、こんなお店はまずあるまい…

 

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奥には大きなスピーカーが設置されていて、終始レコードがかかっている。

椅子に座って試聴できるようにもなっている。ヘッドフォンではなくて、大音量で試聴できるのがありがたい。

 

で、壁のレコードを「はあ、こんな盤があるのか」「どんな凄い音がするのだろう?」などと眺めつつ、ボックスを掘る。

 

興味を惹くものが多く、ご店主にお願いして、色々とを試聴させていただいた。

そして、2枚に絞ってどちらかにするか大いに悩んだ結果、これにしようと決めた。

 

 

で、現在手にしているのが「レコード評議会」で今回採り上げるこの盤だ。

 

 

The  Beatles

The  Beatles(White  Album)

UK盤(1968年)モノラル

Apple Records

PMC 7067

No. 0172097

Side1:XEX 709-1 3 AP

Side2:XEX 710-1 7 AT

Side3:XEX 711-1 2 GG

Side4:XEX 712-2 3 GMG


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ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)」のUKモノラル盤、本当に良い買い物をさせていただいた。

 

ポスターは失われているが、ジャケットが傷んでいてもレコードの音さえ良ければOK派なので、全くもってノープロブレム。

で、肝心の音はと言うと、表面に薄キズがあって見た目のグレードはVGレベルだが、実際に聴いたグレードはEXレベル。

 

それでもって、音の質だが、これがもう素晴らしく良い。

音が新鮮で、音だけで聴ける。音の説得力が凄い。

さほど好きと思っていなかった曲も「こんな良い曲だったのか」と感じ入ったり、慣れ親しんだ曲でも「こんな音が入っていたのか」と驚いたり、全曲にわたって発見がある。


ともかく音が良いのだが、それもそのはず、ビートルズのレコードが作られているEMIでは、スタンパー・コード(※)1234567890の数字をGRAMOPHLTDに当てはめるという方式が採られているのだがGRAMOPHONEコードと呼ばれている)、このレコードは以下の通り。

 

スタンパー・コードなどについては、こちらの記事に詳しく書いてあるので、ご興味のある方はどうぞ。

 

スタンパー・コード

 Side1:AP=36

 Side2:AT=39

 Side3:GG=11

 Side4:GMG=141

 

そう、Side1と2は30番台、Side3は11番とスタンパーが若いのだ。良い音で鳴るはずだ。

Side4は141番だが、400番を超えるスタンパーもある中で言えば、悪かろうはずはない。

 

で、実際に聴いた音は、Side1〜4全てが素晴らしく良い音なのだ。

 

各面4曲に絞って書くと(さすがに全曲だと長くなりすぎるので)、以下の通り。

 

Side1

Back in the U.S.S.R.:冒頭のキーンと入ってくるジェット機の音からして「あ、これは良い音だ」。ジョージのギターソロでのチョーキングやポールの高音トレモロ・ギターが最高。

Dear Prudence:ジョンのスリーフィンガー・ピッキングによるエレクトリック・ギターの響きが鮮明。ポールのベースもゴムまりが跳ねるように鳴る。音の良い盤はこういうベースの音がする(お店で視聴の際、この音を聴いて「これは音が良い、間違いない」と確信)

Glass Onion:前2曲はポールによるドラムだが、この曲からはリンゴ。明らかにドラムの重心が下がって、力強くなったのが分かる。

While My Guitar Gently Weepsエリック・クラプトンのギターソロ。空気が震えるようなチョーキングやビブラートにシビれる。正にギターがむせび泣いている。

 

Side2

I'm so tired:音の説得力ゆえか、思っていたよりも力強いサウンドに驚く。曲の印象が変わった。ジョンのボーカルに合わせるポールのハーモニーが印象的。

Black Bird:ポールの天才が発揮された曲。ギターのアルペジオも、足でリズムを取っている音(?)も新鮮な音で、名曲度が倍増。

Piggiesハープシコードバロックな響きも良いが、ブタの鳴き声がリアルで、そちらに耳が行く。

Julia:シンプルな音作りなだけに新鮮な音が際立つ。ジョンのボーカルがダブルトラックだったと気付いた。

 

Side3

Birthday:♪バースデー♪ と歌われるヨーコとパティによるヘナヘナしたコーラスの響きが良い感じ。

Mother Nature's Son:ホーンセクションが膨らむように響く。聴いていて気持ちが良い。

Everybody's Got Something to Hide Except Me and My Monkey:リンゴのビシビシとしたドラムに耳が行く。シンバルワークが鮮明。

Sexy Sadie:ジョンのリードボーカルに絡むポールのコーラスがきれいに聴こえる。

 

Side4

Revolution 1:シングル・バージョンとは違ってスローな演奏なのだが、音が鮮明なので、ユルいながらもタイトに感じられる。最後のほうで、エフェクターフランジャー?)をかけたギターのギュルギュルとした音が入っているのに気が付いた。

Honey Pieクラリネットの響きが良く、オールドジャズの雰囲気、空気感が伝わってくる。

Savoy Truffle:ブリブリと鳴るバリトンサックスの押し出し感が凄い。パンチあるドラムも気持ち良い。

Revolution 9ビートルズが1970年に解散するまでに発表した213曲中、人気投票213位であろうこの曲(?)。スキップしてしまう人も多いと思われるが、音が良いゆえに聴けてしまう。音だけで聴ける、という典型例。

 

スタンパー「GMG=141」なのだが、素晴らしく良い音なので、もしかすると「GM=14」もしくは「MG=41」のタイプミスということはないのかな?

 

全体に言えることは、ギターの切れ味と響き、ベースの粒立ちと鳴り、ドラムの躍動感と推進力、どれも素晴らしく、何よりもボーカルがきれいで、かつ活き活きとしている。すぐそこで歌っているようだ。

 

いやはや、良い盤を手にすることができて、嬉しい限りだ。

B−SELSさん、長い時間、色々と試聴させていただき、そして良い盤をお譲りいただき、ありがとうございました。)

 

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ちなみに、どちらにするか大いに悩んだもう1枚とは、「レット・イット・ビー」UK盤の両面2U(しかもスタンパー2桁)。

いまだに後ろ髪を引かれる思いでいる…

 

それにしても、改めて思うが、B-SELS、本当に凄いな…

こいつは、また行くシカない、行かねばナラない、と…

 

 

 

 

(追記)

そう言えば、「ホワイト・アルバム」と一緒にこちらのレコードも購入させていただいた。

 

The Beatles Ballads

ブラジル盤(1980年)

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この不思議(不気味?)な感じのジャケットが好きなので購入したのだが、このデザインは「ホワイト・アルバム」の当初タイトル案である「A Doll’s House」をイメージして作られたものらしい。

 

購入する際に意識していた訳ではなく、後から気が付いたのだが、何たる偶然。

面白いこともあるものだ。

 

 

 

 

(おまけ)

誰しもが考えてしまう「ホワイト・アルバムが1枚ものアルバムだったら」というやつ。

少しひねって「A Doll’s House というタイトルの1枚ものアルバムだったら」を考えてみた。

 

The  Beatles

A Doll’sHouse

UK盤(1968年)

Apple Records

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Side1

 1. Everybody's Got Something To Hide  

      Except Me And My Monkey

 2. Ob-la-di, Ob-la-da

 3. The Continuing Story Of Bungalow Bill

 4. Savoy Truffle

 5. Don't Pass Me By

 6. I Will

 7. Happiness Is A Warm Gun

 

Side2

 1. Revolution 1

 2. Honey Pie

 3. While My Guitar Gently Weeps

 4. Rocky Raccoon

 5. Sexy Sadie

 6. Blackbird

 7. Cry Baby Cry 

(8. Can You Take Me Back?:隠しトラック)

 

リンゴ1曲、ジョージ2曲、ポール5曲(6曲)、ジョン6曲として選曲。

 

アルバムのイメージに合わないだろうとか、各人の曲数しばりから、やむなく落とした曲

(リンゴ)Good Night

(ジョージ)Piggies、Long, Long, Long

(ポール)Back In The U.S.S.R、Martha My Dear、Birthday、Mother Nature's Son、Helter Skelter

(ジョン)Dear Prudence、Glass Onion、I'm So Tired、Julia、Yer Blues

 

その他

(ポール)Wild Honey Pie、Why Don't We Do It in the Road?

(ジョン)Revolution 9

 

なかなか難しいなぁ。楽しいけど。

ジョージ・マーチンだったら、どうしたのだろう?

 

 

 

 

(追記 その2)

B-SELSの日記に載せていただきました。光栄なことです。

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